第二十六話 日経平均225で自殺

私は、マザーズ株×信用取引(証券会社に一時的に借金をして取引をする事)で大損をしてしまいました。

700万円の含み益が、ゼロになった時点で損切できずに
マイナス700万になってしまったのです。

下がる株がそのうち上がると思い、さらに買い増しをしたためです。

この時点でもかなり大損ですが
実は私は、もう一つ問題点を抱えていたのです。

私は、700万円を株で勝ったことでいい気になってしまい

「日経225先物」という、金融商品ではFXに並ぶハイリスクな取引をしていました。

「日経225先物」は儲けもかなり大きいですが、損もかなり大きいです。
そして、短時間で結果が分かります。

この取引に、手を出して
アベノミクスの大波に乗っかろうと全力投資をしていたのです。

細かい説明は省きますが、2015年の年末はたくさんの人が大損をしたようです。
私もその一人でした。

自殺者も多く出たようで、有名なところではマラソンコースで見つかった軽自動車の中で自殺していた人がいて
その人はネットで株で大損していたことを書いていたとか書いていないとか
事前に自殺について書いていたとか・・・・

※当時のニュース

マラソンコース上の車に遺体 走者足止め
6日午前、神奈川県大磯町で国際マラソン大会のコース上に止まっていた車の中から遺体が見つかり、一時ランナーがコース上に足止めされる事態になった。
警察によると、6日午前8時半頃、西湘バイパス下りの道路上に止まっていた車の中から自殺したとみられる男性の遺体が見つかった。
現場の西湘バイパスは、6日朝から開催されている「湘南国際マラソン」のコースになっていたが、警察が現場付近を通行止めにしたため一部のランナーがレースの途中で足止めされる事態となった。
警察は現在、車を移動させていて、移動が終わり次第、通行止めは解除される見通しで、これ以降に西湘バイパスを通過するランナーには影響はないものとみられる。
( 2015年 12月6日 日本テレビ)

ネットでは多くの人が
「詰んだわ・・・」
「退職金が飛んだ・・・死ぬわ」
「俺、老後破産www」
「うわぁぁぁああああぁぁああ あがれぇ あがれぇ」
「もうだめ・・・やめて やめて」
「死んだ、はい、今、俺死んだよ!」

等の書き込みがあふれていました。

私は、結局損を取り戻そうと
「一時的に下がってるだけだ」
「日経平均は絶対に上がる」
「安倍総理大臣が嘘を言うわけない」
「アベノミクスに賭ける」

等と言いながら、全財産を溶かしたのです。

お金がネットの中で溶けました・・・。

※実際の取引画面

私は無一文になりました。

ギリギリ借金はしませんでしたが、納税(住民税を払うため)のお金まで手を付けていたので
実質借金みたいになりました。

貯金もなくなりました。

すっからかんです。

世間ではクリスマスだなんだという季節に
無一文になりました。

しかも、孤独です。
誰も相談できる相手はいません。
親にも言える事ではありません。
友達もいません。

私は、心が重く
体も重く
「死んだ方がいいね、これ・・・」
と最初は思っていましたが
しばらくするとそれを思う余裕すらなくなりました。

何も考えられないし
身体がガタガタと震えて
鬱のような状態になりました。
インフルエンザじゃないのに、インフルエンザのような症状です。

生きるとか、死ぬとかそういう問題ではなくて
実質死んでいるような状態です。

私は、生きたいとか死にたいとかじゃなくて

「具体的にどうやって死のうか?」
と言う事を考えていました。

そう、死ぬことは確定したのです。

今思うと「メンタル弱いな」と笑える話ですが
「昨日まで元気だったのにいきなり自殺した」と言う話があるように
ある一定のラインを超えるとメンタルが強い弱いとか関係なく
自殺モードになるのです。
そのモードの時には、一般論や励ましの言葉などは届きません。

よく死ぬ気でやれ!と言ったり
死ぬ気でやっています!なんて言いながらヘラヘラと物事に取り込むハッタリ君がいますが

私の場合は、自分に嘘をつけない性分です。
本当に死ぬ気で勝負をかけていたので
負けたら気が抜けてしまい、本当に死んでしまいそうになったのです。

結果として、私は生きていますが
この時は本気で打ちひしがれて死のうと思ったのです。

頭のおかしくなったシロクマ

私は、自殺レベルから復活して
わずか1年ちょっとでまた無一文になり、
以前、無一文になって実家に帰って自殺しかけたときの思いがぶり返して
頭がおかしくなってしまいました。

不眠が続いていました。
寝れないのです。
独りではとんでもない事件を起こしてしまうかもしれない・・・
と本気で思って独りでソワソワソワソワ部屋でウロウロと歩いていました。

動物園の狭い檻の中で頭がおかしくなってしまったゴリラやチンパンジー、シロクマなどを知っていますか?

動物園の檻の中に閉じ込められた動物たちには、自然の中でくらす野生動物には決して見られない、変わった行動(異常行動)が引き起こされてしまいます。

特に目立つのが、同じところを行ったり来たり、首を左右に振り続けるといった同じ動作を反復して繰り返す行動です(常同行動)。

これは動物の本来の行動欲求が満たされないために、別の行動に転化されたものと言われますが、このような異常行動はまさしく動物たちのストレス度のバロメーターとなっています。

リンク元 地球生物会議ALIVE  動物園の動物の異常行動

今では笑える話ですが
この時の私は、独り部屋の中で同じところをぐるぐると回っていました。
それも2,3時間とか・・・

食事もほとんど口にせずに
水すら喉を通らず
独り、38歳の男が、深夜の2時とかに部屋をぐるぐると徘徊しているのです。

外に出ると車に飛び込んでしまうんじゃないか?
「そしたら人に迷惑がかかるからやめよう・・・」
「いや、死ぬんだから人の迷惑なんて関係ないじゃないか・・・」

私は衝動的に、発作的に死ぬんじゃないかと思って
自分の部屋で異常行動をしながら自分と戦っていたのです。

絵にするとこんな感じです

心の中はこんな感じです

完全に素過度なストレスで頭がおかしくなってしまいました。

さすがに頭を振ったりはしませんでしたが、
過度なストレスで異常な行動をしていました。

どうしても眠れないので
人が少ない、かなり寒い12月の深夜2時に
4時間くらいウォーキングをしました。

もう、歩けない・・・
あまり食べてないし
水とかお茶しか飲んでいない私はさすがに疲れ果てました。

数時間のウォーキングを終えてやっとの思いで家に帰り着きます。

「これだけ運動したら寝れるだろう・・・」

ベッドに入っても寝る気配がありません。
眠たくないのです。
体は緊張なのか、いつも武者震いのようにガタガタと震えています。

過度なストレスに対抗しようと
自律神経が危険信号を出しているのです。

しかし、完全に一睡もできないというわけではありません。
きづいたら気絶するように寝ていて、起きると数時間が立っていたという事がよくありました。
まったく眠れない日もあれば、5時間くらい寝れるときもあったのです。。

結局、平均して一日2時間くらいしか寝れない日々がしばらく続きました。

いつまで、これが続くんだ・・・?

私の不安はピークに達して
独りではどうしようもないので
ある人に連絡を取る事にしました。

以前、私が愚かだったために、裏切ってしまい
完全に嫌われてしまった人物

「ひまわりさん」です。

>>第二十七話へ続く

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