第十五話 ペナルティ

彼が就職し
以前ほど彼とつるまなくなった私は

「あ~、遊んだなぁ、金もなくなったし、気持ちを切り替えてまた仕事をたくさんしよう」

とアフィリエイトのサイト作りに励んでいました。

・・・は束の間
気持ちを切り替えて仕事を再開した2,3か月後たった時
私のサイト軍が「グーグルペナルティ」というのをうけました。

グーグルペナルティと言うのは悪質な公告サイトを検索エンジンから表示させなくするシステムです。

まず、1回目は2011年の秋頃でした。
ちょうど、3.11の大地震があった年です。
私は34歳、忘れもしません。

朝起きると、順位チェックツールで私の主な収益サイトの半分くらいがペナルティをうけているのを確認しました。

「あぁ、やっちまったなぁ・・・」
「まぁ、いつでも覚悟してことだし、仕方ない」
「反省点を見つけて、ここからまた作り直せばいいさ」

半分なくなっても月利(月の利益)で100万程度はあります。

「あぁ、遊びまわらずに、きちんと資金を使って、ペナルティをうけない資産型サイトを構築すればよかった」

「まぁ、よくある事だし、想定内の損害だ」

私はそう思い、またサイトの構築に励んでいました。

相変わらず週末は彼と遊んでいました、
土曜日は夜のお店に行き
日曜日は彼が休みなので、昼間から酒を飲みプレステでゲームをしていました。

そして、ペナルティ確認から一週間がたつ頃
ある日自分のサイト軍をチェックすると

「あれ?ペナルティ受けてるじゃん」
「このサイトも・・・?」
「このサイトも・・・?

「え?」

「ほぼ全部じゃん」

そう、第一回目のペナルティで「まぁ、想定内」と余裕を持っていた私に
第二回目のペナルティがあってサイト軍のほぼすべてがお金を生み出せないサイトになりました。

少し専門的な話になりますが「無理な被リンク」が原因です。
そして、グーグルアナリクスで確認すると全て手動ペナルティです。
これではどうしようもありません。

「あぁ、詰んだわ」

私はすぐさま、予想収益を計算すると、月利20~30万円という数字になりました。

数百万円生み出していた私のサイト軍が
数週間の間にほぼゼロになったのです。

個人の副業としての30万と言うのは大金と思うかもしれませんが
法人の30万とは個人でいうところの3万円程度です。
暮らしていけませんよね。

会社も維持できません。

というより、そんな利益じゃ法人を維持する意味もありません。

「あ~詰んだな・・・」

私は放心状態になり
2、3日動けなくなりました

布団の中で緊張からくる寒気と一緒に
なにもやる気がおきなくて
体も重く
ネットを開いても仕事のやる気がありません。

自分の設定している給料以下の月利じゃこの先やっていけない。
つまり、会社の利益が自分の給料を下回っている状態です。

それに、それまでのサイトを作るのにも一日10時間以上の作業は当たり前で
当時34歳の私は、それほど若いエネルギーがあるわけではありません。

「また、同じことは絶対にできない」
「あんな膨大な作業を今からやり直すことはできない」

まだ、それだけではいいのですが
私は次第に体の不調が現れるようになりました。
ストレスからくる緊張なのか

耳鳴りが始まりました、
ニイニイゼミという夏の初期に一番最初に現れる一番小さなセミをご存知でしょうか?
あれです。
ミンミンゼミではありません。

夏でもないのにニイニイゼミが庭の木でずっと鳴いている状態です。

しかもなかなか眠れません。
眠れないので、酒を飲んで気絶するように眠ります。
しかし、2,3時間するとまた目が覚めます。

体は疲れていても脳みそがギンギンに目を覚ましているのです。
自律神経がおかしくなっているんです。

「考えても、仕方ないや」
「どうにかなるさぁ」

という思いと

「詰んだな」
「もう一回作業男こなせば元に戻る、頑張れ!」

という自分の気持ちが交錯します。

いつも危機感を感じていて気が休まりません。

寝不足とアルコールのせいで
体はだるく、重いのに
脳みそだけはフル回転なのです。

耳鳴りもして
何かしなきゃ!という思いが強いのですが
なにもアイデアが浮かびません。
あの膨大な作業量をまたやるのか・・・
無理だろ・・・

初めての睡眠薬

元々薬が大きっらいでした。
「医者に殺される」みたいなそういった類の本を読んでいたし
医者を信用してはいけないというのもあるし

落ち目の起業家がアルコールや向精神薬や睡眠薬で頭がおかしくなるという
そういったケースがあると知っていたので、薬だけは飲まないでおこうと思っていました。

しかし、精神的に参っている私は、そんなことを考える余裕がありません
とにかく、リラックスして、眠らなきゃ本当におかしくなってしまう・・・

私は
睡眠薬の入手方法 みたいなキーワードで調べて
内科でも睡眠薬を処方してくれることを知りました。
ついでにその他、精神系の医薬品についても調べました。

精神科は抵抗があるな・・・と思い内科に行き
「株で大暴落してしまって、精神的にまいっている」
「耳鳴りも、耳鼻科では異常ないと言われたし」
「睡眠薬を飲んだほうがいいかもしれない」

と話が複雑になると面倒なので、株と言う事にして
睡眠薬をもらいました。

一番軽いといわれる部類のものです。

以前交通事故で入院した時も、夜に処方されたのと同じです。
私は、これ以上強い精神に影響する薬をのむと
本当に頭がおかしくなってしまうんだろう
酷くなってしまったら

「裸で電柱に上り叫んでしまったり」
「駅で大声で奇声を上げている人」
みたいになってしまう・・・
精神病院で隔離されるかもしれない

という恐怖もあって、本格的に精神科に行くのに抵抗がありました。

もし、私がこのような性格じゃなかったら、今頃廃人になっていたのかもしれません。

睡眠薬はちっとも利きませんでした。
でも、一方で、これ以上強い睡眠薬なら精神科に行かなければならないし
頭がおかしくなったら嫌なので、薬に頼るのをやめました。

気休め程度に薬局に行って気分が落ち着くなどと書いてある漢方薬を探して飲んでいました。

少しづつ確実に精神的にまいってしまう私は
会社をたたんで実家に帰る事を考えるようになりました。

そのころは気持ちに余裕がないというのもありますが
いつもキャバクラに誘ってくる彼とは連絡を取らなくなりました。

原因はこいつだ

コミュ能力が高く
酒とたばこと女遊びが好きで
人からお金を引き出すのが上手な男・・・

そんな彼ですが、彼との縁を考え直すきっかけになった出来事があります。

ある日、電話がかかってきました。

私「どうしたの?」

F「あ~松田さん、キャバクラ行きませんか?」

私は彼と昼間から会わなくなったのと
仕事をおろそかにしていた自分や
アルコールにハマりすぎている自分を反省しつつあり
彼とは気持ちが少し離れていました。

私「ずっと遊びすぎてさすがに金がなくなってきたわ、しばらく夜の店はやめとくわ」

F「え?金ですか?じゃぁ、この家に置いてある松田さんのプレステとソフト売りましょうよ」

私は、一応、そのプレステには彼と鉄拳やストリートファイターをした思い出があります。
クズのような男ですが、孤独だった私はとても楽しかったのです。
彼とゲームをしているときが
小、中、高と友達がいなく
社会人になっても底辺フリーター
起業しても、都会で独りぼっちの私でしたが
彼は孤独を癒してくれましたし

今思えば
彼の存在は馬鹿な事をして楽しみたかった私が作り上げた理想の友達だったのかもしれません。
彼という存在は
孤独に苦しむ私に
神様が送ってくださったエネルギー・・・

私の思考を現実化したエネルギーの結晶だったのかもしれません。

私はプレステで遊んだ楽しいひと時を思い出し
そして、それをキャバクラの為に売り払おうとしている彼にその瞬間に嫌気がさしてきました。

「あぁ、こいつ本当にでダメな奴だな」
「人のものを売ってまでキャバクラか・・・情と言うものはないのか」
「コイツといると本当にでダメになるな」

そう感じた私は、彼とは縁を切る事に決めました。

プレステは取りに行くと彼に合わなければならないので
「あぁ、売っていいよ、売ったら教えてね」といいました。

そして、2、3日して売って2万円ほどになったようで
私は
「その金で独りで風俗化なんか行っていいよ」と言いました。
最後のおごりのつもりでした。

その日を境に、彼と遊ぶのはやめようと決めました。

一緒にいても、時間を無駄に使うだけで
起業家としては何もいいことはないし
「環境が大事」
「付き合う人間が大事」という事を本で読んでいた私は
業績悪化は自分の怠惰とそういう心のスキが招いたものだと反省し

次からはこういう遊び人の消費者マインドの人とは付き合わないようにしよう
と思っていました。

しかし、彼は週末になると私にいつも見たいにキャバクラや風俗を奢ってと電話してきます。

心の弱い私は、その誘いを受けて、さらに貯金はなくなり
さらに精神的におかしくなってしまいました。

>>第16話へ続く

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