第七話 お金がない

バイクとアルバイトの給料が10万円を超えて
私は市街地を散策するようになりました。

そして分かったのが
全部高いという事

月収13万円でバイクのローンを引くと
カッコイイ4万円のコートや
2万円の革靴や
雑誌で紹介されているナイキのエアーマックスも超高級品で手が出ません。

喫茶店ではコーヒーも一杯800円・・・
ほとんど自分の時給ですね

私は、自分の給料が低くて
生活するだけで精いっぱい
東京に行くなんてこんなんじゃ無理だなと思い

フリーターをやめて正社員の職を探すことにしました。
ハローワークに行くと月収17万円等の工場の仕事がたくさんあります
福利厚生もあるし、フリーターではなくて正社員になる事を意識し始めました。

求人雑誌の怪しい広告

未経験でも月収50万円可能!
そんな広告が結構ありました。

私は、きっと怪しい所だろうけど、面接を受けてみようという思いで
若さの勢いも手伝って応募して、履歴書をもちその中のいくつかに行ってきました。

結果
30万円の掃除機の訪問販売
30万円の謎の羽毛布団の訪問販売などでした。

面接担当者もどことなくチンピラ臭がします。

私は、高額な給料のところは怪しい所しかないなぁ・・・と思い
やっぱりまともなところに就職したほうがいいな
親も安心するだろうし、とハローワーク(当時は職業安定所)に行くことに決めました。

ハローワーク

学校が1時間もかかるのにこりごりで
職場はなるべく家の近くにしようと思いました。

ハローワークに行って
なるべく職場に近い所
給料はそこそこでも楽な仕事を希望しました。

その結果、若さもあって即、面接で合格したんです。
その工場は、いまだによくわからないのですが、鉄工所などで使うための
色々な種類の砂や小石のようなものを
細かく砕いたり、仕分けをして分類して出荷する役目の工場でした。

その工場は粉塵がひどく
例えるなら小麦粉をまき散らして、いつも霧がかかっているような工場で
しかも、小麦粉ならまだいいんですが、よく知らない種類の砂が舞っているのです。

とても空気が悪くて肺がんになるんじゃないかと思いました。

防塵マスクというのをするんですが、これをすると呼吸が苦しく
また、空気ろ過用のシートがすぐに黒くなり、さらに呼吸が苦しくなります。

とても環境が悪かったです。

でも、人がやさしい買ったですね。

40代、50代のおじさんが多く
みんなのんびりしていました
中高年が多い中、21歳の若い私を後継者のように扱ってくれて
大事に育てようとしてくれているのが分かりました。

「いや、こんなとこ、お金がたまったらやめるけどね」と思いながら
みんなのやさしさに甘えていたのです。

それもあって、健康に悪い職場ですが、なんとか続けることができました。

もう一つ理由があってボーナスが良いのです。
月収17万(手取り14万円)でボーナスが夏と冬に2か月分、34万くらい入ってきます。

私は次の夏のボーナスまで頑張ろう
それが終わったら次の冬のボーナスまで頑張ろう
とそういう想いで、続けることができました。

この間に、やっぱりバイクだと雨の日に辛いという理由で
ローンを前払いで全額払い、そして売却して
その売却額と貯金を合わせて、40万円くらいの中古の車を買いました。
日産のプリメーラというボロ車です。

結局2年くらい働いて、粉塵に耐え切れずにやめました。
防塵マスクと私の顔の皮膚の接着面には洗っても消えない黒い線がいつも残っており
ゴルゴ13のように線ができていました。
精神的にも限界だったのです。
とても空気が悪く、肺がんになったら嫌だなとか
謎の鉱物の粉塵ですから、この先を考えるとやめたほうがいいと思ったのです。

そして、私はフリーターに戻りました。

>>第八話へ続

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