介護うつのような状態になった私は
熟睡していない時期が半年以上続きました。
ある日、とりあえず寝ようと
夜の12時くらいにベッドに入り
暗闇の中、見えない恐怖と耳鳴りでうずくまっていました。
普通の時でインフルエンザのような状態です。
体は重く
何かをしたいとか、そういう余裕はなく
ただ生きるだけと言った感じです。
2時間くらい寝たでしょうか
目が覚めた後
猛烈な焦りが襲ってきます。
おはようございます、パニック障害です
いつも以上に目が覚めたら猛烈な焦りがありました
普通の人なら悪夢を見て、うなされて目が覚めたら10分もすれば落ち着くはずです。
その落ち着きがくる気配がなくて
ピークの何とも知れない恐怖のようなものが
消える気配が全くない・・・
私は、正式に病院に入っていませんが
病名でいうところの「パニック障害」のようなものです。
私は、今度こそは
「あぁ、人はこうやって自殺するんだろうな・・・」
「あの、自殺した芸能人や、有名なミュージシャンや海外の女優なんかも最後はこんな感じだったのか」
と思いました。
「いや、あきらめてはいけない、一時的なものだきっとそのうち落ち着きを取り戻す・・・」
生きるか、死ぬか・・・そんな意識が交互に現れます。
私は、いたたまれなくなって独り、朝日の中車を走らせました。
こんな経験は何度もありましたが、この朝は強烈です。
今でも覚えています。
私は、車を走らせました。
何とか自殺しないようにとあらかじめスマホに入れていた
スティービーワンダーの曲を大音量でかけました。
スティービーワンダーは盲目の歌手で、大成功者のお金持ちです。
特にファンではありませんでしたが
「五体満足な私は彼より恵まれているから自殺なんてもったいない」
と自分に分からせるために、また思い出させるために聞くことにしていました。
また、脳みそに快楽を与えないとだめかもしれないと思い
コンビニで甘いお菓子・・・チョコレートやミルクティーを買って食べました。
そして、2時間くらいドライブしてようやく落ち着きを取り戻しました。
人間は怒りや焦りと言うのは長く続かないようにできているのです。
このころは、自分の異常さを分析すべく
脳の働きをいろいろ調べたので、脳科学には詳しくなっていました。
一時的な感情と言うのはそのうち落ち着きます。
走って息切れはしても、そのうち通常呼吸に戻るのと似ています。
「今回の焦燥感(意味もなく焦る事)は長かったなぁ・・・危ない・・・危ない・・・」
私は、家に帰る事にしました。
この日は、とても天気の良い朝で、7時から8時ごろです。
ほとんど寝ていない私にの目には
朝日が目を刺すように感じられました、よく覚えています。
家に帰りたい・・・
家が近づいてくると
また、焦燥感が襲ってきました。
「あぁ、家が原因なんだな・・・」
「家から離れると正常に戻って、近づくと体調が悪くなるのか・・・?」
ストレスと言うのは、自分が大丈夫、大丈夫、と思っていても体を蝕みます。
人の精神状態と言うのは体に現れます。
例えば女性などの場合で
学校のいじめ、失恋、旦那の病気などで何らかの強いストレスを受けた場合
「大丈夫、私はそんなに弱くない」と強がっていても
体は正直です。
食欲がなくてガリガリになってしまったりします。
男性の場合は
「俺が、この程度でへこむわけがないだろう(笑)」
と余裕ぶっていても
背中には汗がダラダラ
円形脱毛症になったり
下半身のあそこは縮こまり、そのまま勃起障害
電車の中で体が動かずにそのまま失禁
なんてことも実際にあるのです。
精神的には自分では大丈夫と思っていても
ストレスは肉体に現れます。
三半規管をやられてめまいになって倒れたり等は分かりやすいですね。
倒れはしませんでしたが、私の場合はめまいや耳鳴りに悩まされました。
「落ち着いたから大丈夫!」
「この俺が、自殺なんてするわけがないじゃないか(笑)」
と余裕をかましながら家に近づくのですが
近づくにつれて焦燥感がぶり返してきます。
胸から胃のあたりがキューとなり
下半身がフワフワと力が入らなくなるのを感じます。
ものすごい高い所に行ったり
断崖絶壁の崖っぷちに立って上から海を見下ろしたことはありませんか?
その時に感じる恐怖と言うか、近づいてはいけない!という
本能で体から発せられる危険信号がありますよね
あれとほとんど同じです。
崖ならそのまま引き返して
「あ~怖かった(笑)」で済みますが
私の場合は家なのです・・・。
戻るべき場所です。
この時の私は
そのまま崖に飛び込む=家の中に入る
と言った感じで
本能でシャットダウン、絶対にやってはいけない事だと
脳が信号をビンビンとだしているのです。
本能は私自身を守ろうとしています。
ストレスのない状態、ストレスのない場所へ私を導くのが目的です。
本能に従うのであれば、私はこのまま沖縄にでも逃げて
荷物を送ってもらい
実家や介護の事は忘れて海辺でのんびりと生きていくことが
正しい選択なのかもしれません。
「・・・とりあえず家の前まで行ってみよう」
家の前につくと、家は
「ぐにゃ~」と曲がって見えます。
実際にこの絵のように曲がるのです。
今でもよく覚えています。
「あぁ、これ、相当キてるな・・・」
「まるで、カイジ(漫画)だな・・・本当にこんなのあるんだ・・・」
「ついに、俺もここまで来たか・・・」
私は、このままでは確実に死んでしまう。
今のうちに何とかしないとさらにひどくなる
そして
おばあちゃんの問題を早く何とかしないと先に俺が死んでしまう
そう思ったのです。
>>第二十話へ続く