第五話 図書館の落ちこぼれ集団

アルバイトを心のよりどころにして
学校にあまり行かなくなった私は
ある日、担任に呼び出されました。

「松田さんは、真面目なのになんで学校に来ないの?」
そんな感じの事でした。

本音は学校になじめなくて居場所がないし
行くと鬱のような状態になるので、行きたくないという事でしたが

思春期の私は「かったるいし~」みたいなことを言って不良のような事を言いました。

すると「このままじゃ卒業できなくてもいいの?」みたいなことを言われて
「え?俺卒業できないの?」と知りました。

後でわかりましたが、他の登校拒否は親の事情が理由らしく
家庭がきちんとしているただのサボりの私には「やむを得ない理由で義理で進学」という
よくわかりませんが、そういう理由で一種の恩赦のようなシステムは利用できないようでした。

親も呼び出されて
親が「この子は子供のころから学校になじめない」という事を知った担任は私に
「図書館で勉強」という登校拒否専門システムのようなものを提示して
親が同意し、私は図書館とクラスを行き来する特殊な生徒になったのです。

一種の学習障害児のためのシステムだと思うのですが
私はこれを利用する事になりました。

引っ越し屋のアルバイトで大人の理不尽さを知り
勉強せずに安易に肉体労働をすると大変な目に合う事を知っていたし
勉強の大切さは一応わかっていた私は
図書館で勉強する事になったのです。

図書館

図書館には選りすぐりのいじめらっれっぽい人や
なんらかのアスぺ風の障害を持った人
各学年から停学中の不良が集まっていました。

先生が一人(多分臨時教員か何か)が前にいて
図書館の机で勉強をするのです。

だいたいいつも5、6人いました。
人はころころ入れ替わります。

私はこいつらと関わってもろくなことがないなという思いで
休み時間は図書館の漫画を読んだりウォークマンを聴いたりしながら
一切の交流をしませんでした。

先生がいないときや自習の時
不良は授業中に叫んだり、談笑したり、競馬やパチンコの話をしたり
不良じゃない生徒は漫画を読むなどしていましたね。

そして、たまに自分の教室に行く(嫌な時間)を過ごしていました。

図書館もすべて行くわけではなく、適度にさぼったり遅刻をしながら
のらりくらりと残りの1年半をやり過ごすことになったのです。

学園祭は馬鹿らしいと思っていたので不参加
運動会も不参加でした。
クラスになじめていないし、そもそもくだらないと思っていたので
子どものころに車にひかれて腰が悪いという設定にしてサボりました。

歴史の年号や化学式などを暗記する意味を見いだせず
勉強もやる気なし

アルバイトで11時に帰宅して朝までゲームをして
学校では机でほとんど寝るだけ
四時ごろに学校が終わり時間をつぶして7時くらいから飲食店の皿洗いのバイト
そんな昼夜逆転で高校三年生を過ごしていました。

自分なりに孤独をしのぐ方法として寝ていたんです。
もちろん寝心地は悪く、肩も凝るし腰も疲れます。

しかし、現実逃避をするかのように寝る事で
孤独を忘れる事に必死だったんです。

卒業

そんな孤独な学校生活でしたが
アルバイトという楽しみと
上京して社長になるというワクワク感で乗り越える事ができました。

高校生活に対する思いは別にありません
良い思い出もありません
友達もいません

単純に私に合わないんですね。

クラスメイトは全員就職か進学が決定していましたが
クラスの中で私だけ進路未定でした。

卒業式は一応出て
みんながテンションが上がって友情を確かめ合っている中
私は独りでそそくさと自転車に乗って自宅に帰りました。

「もう、ここに来なくていいんだ!」
その時の私は私はとても幸せでした。

>>第六話

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